(余談) 意外な拾い物「タナカヒロシ」

2000年に2度ほどサイキック青年団にゲスト出演したこともある鳥肌実の初主演映画「タナカヒロシのすべて」をレンタル鑑賞する機会を得る。一部でカルト人気があるせいか、昨年から目を付けていたのだが借りにくい状態がずっと続いていた。
2年前に単館上映で公開された際はマスコミでもほとんど話題にならなかったと記憶するが、そのような扱いようにしては案外良い作品だったのでご参考までに紹介しておきたい。「超映画批評」でも指摘されているように、意外なお徳感のある作品。コメディ好きなサイキッカーには騙されたと思って観て笑ってもらえれば幸い。ただし、レンタルで十分ではある。
お徳感の源泉は以下の4点かと思われる:

  • 鳥肌実の演技がなかなか上手い。役にぴったりはまっていた。彼の狂気面あっての役どころだろう。
  • 脇役陣(特に女優)がこのようなマイナー作品にしては驚くほど豪華で見応えあり。加賀まりこ鳥肌実の母親役ですよ(苦笑)。小品であるにもかかわらずこれだけのキャスティングをよくやったもんだなぁと。プロデューサーの力量か。
  • 淡々としたストーリーでありながら途中で飽きさせない。これもひとえに鳥肌実の不思議な存在感に引き込まれた故のことかもしれない。
  • トホホな展開にも関わらず後味が良い。どういうわけかタナカヒロシ(鳥肌実)が女にモテるという設定も救い。逆に言うと、破滅型を期待する向きは不満を覚える可能性あり。

一点だけ不平を言うと、意表を突くような展開とそれに伴うクライマックスらしい山場が一切ないということか(その飄々とした話の運びが味わい深いと言えばまぁそうだが)。いつの間にか終わっちゃった、というような虚脱感がないとは言えない。
あらすじ等:「タナカヒロシのすべて」 - CINEMA TOPICS ONLINE