(余談) 「嫌われ松子」を観た

前回の放送で板井氏と平野氏が高く評価していた映画「嫌われ松子の一生」を騙されたと思って観てみた。以下、個人的雑感を少々(若干ネタバレあり):

  • 娯楽作品としての完成度は高いし、手抜きせずにかなり丁寧に作り込んでるなぁと感じた。どういうメッセージを受け取るかはともかく、十分楽しめるとは思う。
  • ただ、CGを駆使した漫画チックでコミカルな演出とミュージカルの味付けは好みが分かれるに違いない。私は刑務所ラップのシーンでちょっと引いた。Yahoo!のユーザ・レビューも真っ二つに分かれている印象。
  • 実はこの漫画チックな演出と映像処理はBIG FISHに非常に類似していると感じたのは私だけであろうか。洋画家の誰かさんと違ってパクリだと言うつもりはないが(苦笑)。どこにでもいそうな市井の人物の破天荒人生に焦点を当てている点でも似ている。登場人物に歌わせるシーンはMagnoliaにもあったような。オマージュか(笑)。
  • 中谷美紀の熱演は評価できると思う。ようやってます。CD出していただけあって歌も上手い。もっとも、濡れ場というほどのシーンは特にないので、そっち方面では期待できません。PG-12指定というのは、エロ・シーンというよりもむしろ暴力シーンに対しての比重が大きいかもしれない。
  • 主人公の人生は全然不運じゃない。災い転じて福となすような出会いとチャンスがそこかしこに散らばっていたにもかかわらず、自ら進んで破滅的になっているだけ。オトコを見る目がないところといい、ある意味投げやりですらある。つまり自業自得であって、ツキに見放されているという不条理感はない、ラストを除いて。
  • それでも...。たとえ第三者的に見れば虫けらの様な破滅的人生であったとしても、出会いのあった幾ばくかの人々に有形無形何かしらを与え、それによって感謝されるようなこともあるってことか。それも往々にして本人が気付かぬうちに、あるいは死して後に。そういう「意味付け」も、ありうると。