(余談) アシッド・サントラ特集VI

去る23日深夜(というか24日早朝)、先回サイキック青年団に引き続いて放送されたアシッド映画館の特番「アシッド・サントラハウス・エピソードVI」は、サイキックでも紹介されていた通り竹内氏を迎えての放送であった。
サイキックではお馴染みの少しヤンチャな一面は若干抑え調子に、竹内氏が平野氏と噛み合ったコンビぶりを発揮しつつ、なかなか味のあるオトナの雰囲気を出して良質な番組に仕上がっていたと思う。意外な発見があったりと期待以上に楽しめた。平野氏自身、我ながら良い番組になりましたとエンディングで感心していたほどである。
とは言っても、まるで拷問のような(苦笑)放送時間帯(月曜日の2.45-4.35)であった故、私のように録音して聴かれた方が多いのではないかと思うが、タイマー録音の環境がないので諦めて寝入ってしまった方も少なくないと想像する。以下、ご参考までに、番組中で流れたサントラ楽曲等を記録しておきます(放送順)。

前半

  • "Never" by Moving Pictures from Footloose:80年代大映テレビドラマの代表作の一つである「不良少女と呼ばれて」(全然老けない(笑)いとうまいこ主演)にも使用された話題で盛り上がる。「なんかネバネバしてるな」。
  • "Wind Beneath My Wings" by Bette Midler from Beachesフォエバー・フレンズ):かつて安田成美主演の月9がまんまパクリした映画。
  • Theme from Project A:Jackie Chanが一番輝いていた頃を思い起こす。事実上彼の日本デビュー作とも言える「酔拳」にて、オカマ・モードに入ったシーンで「おすぎかしら、ピーコかしら」という超訳字幕が出ていたことを平野氏が懐かしんでいた。

そっくりさん対決

この曲とあの曲は似ているという聴き比べ。

  • "Main Theme" from 2046 vs "Noon" from LEON:中近東節が共通。5音階旋律はどのように料理しようと概ね類似するから、ちょっと仕方ないかも。
  • 韓国映画の主題曲で、Duelist vs Last Present:同一の作曲家。「一度キメた旋律、得意ネタはどうしても使い回したくなるのよ」ということでご両人は納得の様子。
  • "Parade Of The Ewoks" from Return of the Jedi (Star Wars) vs "The Love of Three Oranges"(3つのオレンジの恋)by Procofiev:激似、衝撃のパクリ発覚(笑)。巨匠John Williamsの作品は、所詮クラシックのコラージュに過ぎないのか。「John、ダメだなぁ(笑)。オマージュと言い訳するんちゃうか」。

後半

  • The NBC Mystery Movie (Theme) by Henry Mancini:日本では「刑事コロンボ」のテーマとしてつとに有名だが、実はかつての米NBCミステリー・シリーズ('71-'77)のテーマ曲であるとの話。「コロンボ」もその枠で放映されていた。トリビア、かな? 10年前だか「金曜ロードショー」(だったと思う)でコロンボの作品を放映した際、水野晴郎氏自身が打ち明けていたことを私は覚えている。
  • "第一次攻防戦" from 子宮地球防衛軍:特撮マニアの竹内氏からリクエスト。今回放送の目玉、第一弾。伊福部昭氏(今年2月8日に逝去)の代表作の一つ。
  • "マーカライト・ファープ" from 地球防衛軍:冒頭に台詞(怪しい外人の過度に拙い日本語に失笑)とマーカライトの効果音(今聴けば単なるノイズだが)が流れる。竹内氏、当時の日本映画の重厚さを彷彿とさせる、と感慨に耽っていた。
  • "Let's stay together" by Al Green from Munich
  • "PM's Love Theme" by Craig Armstrong from Love Actually:映画の宣伝用(trailer)によく使われる曲ということで取り上げ。こういう勝手な使い回しは許されるのかどうかは微妙だが、という話。
  • "I Can't Turn You Loose" / "Minnie the Moocher" from Blues Brothers
  • "愛すれば愛するほど" from Love Story韓国映画から。平野氏、サントラのマイ・テープを作ろうと悪戦苦闘したエア・チェック(!)の苦労話を一くさり。70年代後半〜80年代にFMを聴きまくって青春を過ごした日々、そんな時代もありましたなぁ...。

竹内氏のほろり昔話

今回のハイライトはこれ、"名も知らぬ花" (主題歌EP盤のB面) from 七色仮面。竹内氏のダメもとリクエスト。だがABCのライブラリで奇跡的に発見される。
この曲にまつわる竹内氏の思い入れは、氏が30年ほど前に大阪に出てきたばかり頃の若き貧乏時代に由来する。金欠で無聊を囲っていた当時、京都の友人から貰い受けたカセット・レコーダとテープ一本。そこに「名も知らぬ花」が録音されていた。それを聴いた瞬間、心に染み入り号泣したとのこと。お金はなかったが夢と希望に満ちていた日々を思い出すとしんみり。
この曲は個人的にも非常に素晴らしかったです。いかにも古き良き歌謡曲という感じの単純なメロディに中原美紗緒さんの伸びやかな歌声が郷愁を誘い、確かに状況によっては泣ける曲ですな。
貴重な音源と思いきや、実はCD化されているらしい(モノラル録音)。

ラスト・オーダー

締めはやっぱり角川映画ということで、汚れた英雄のテーマ曲。当時は草刈正雄に憧れたなぁと。その後、例の秘密を知ることになるわけだが(苦笑)。最後は"Love Theme" from Blade Runnerを聴きつつお別れと相成り。