(余談) 尻穴

昨晩、米石油業界と中東情勢の内幕を暴いた話題作「シリアナ」を鑑賞、酷過ぎて打ちのめされる。もしかして先日観た「北京原人」の方がまだましだった、と心にも無いことを口走ってしまいそうなくらいに(苦笑)。あまりの出来の悪さに警告の意味も込めて書かずにはおれず。1,800円払って観に行ったら損しまっせ、ほんまに...。
題材は確かに時宜に適っているしスリリングだと思う。だが映画としての出来は良くない。題材の知的興奮度と映画としての完成度は分けて評価する必要があると思う。娯楽映画として見せる以上、2時間退屈しないで見せてくれるか否かは絶対に無視できない。知的刺激を得るだけならば、本を読めば済むことである。
それで最大の問題は、脚本・構成がとにかくお粗末で、ストーリーにまるで統一感がないことである。主旋律と副旋律の同時進行形式に則り(これ、流行ってまんなぁ)、様々な登場人物やストーリー断片がこれでもかとばかりにくんずほずれつ入り乱れ、一体誰が何を目的に立ち回っているのかさっぱり分からんのだよ。私は最初の1時間強(だったかな)、何がなんだかほとんど理解できなかった。ラスト30分位でようやく全体像が把握できたかなという難解さ。浅薄な私とて一応は中東国際情勢やら石油業界の歴史とかCIAに関する最低限度の基礎知識は持ち合わせているつもりではあったが、「こいつ、誰?? 何してる人なん??」の連続に軽い目眩が途切れることは無かった。
そしてやっと全体像がおぼろげに浮かんだところで皮肉にも感じたのである。ネタバレになるので詳細は控えるが、ロビイストコンサルタントを媒介項に、CIAを尖兵として米政府と業界ズブズブの関係などこの程度の内幕話は「タブー解禁!!」などと仰々しく煽るほどのもんじゃないんちゃうの、と。例えばチェイニー副大統領とハリバートンの関係などを見れば一目瞭然だわな。同じ内幕物であれば、Lord of Warの方が遥かに「へぇ〜」指数が高かった。
まぁこの映画がサイキック青年団で話題の端に上ることがあるかどうかは分かりませんが、平野氏あたりが上記同様の指摘をしてくれるかもしれない。
UPDATE (3/28): 3月初放送「アシッド映画館」における平野氏評はこちら。先日、「シリアナ」の監督が脚本を手掛けた、同じようなドキュメンタリー・テイストの映画「トラフィック」を鑑賞したが、こちらの方が非常に出来が良かったことを書き添えておく。