(余談) 今ごろ「北京原人」

本日、恥ずかしながら今ごろになってようやく稀代の迷作/怪作「北京原人」を、やっとの思いで(苦笑)鑑賞する。公開から約10年を経過後、まるで封印を解かれたかの如く昨年の12月に突如としてDVD化され、年明けにレンタル解禁となったことに伴い鑑賞する機会を得た次第。まだ観ていない方はレンタルされることを奨める(特に若いリスナー間で鑑賞済みの人はほとんど皆無なのではないかいな)。サイキック青年団ではB級映画の代名詞として未だに言及されることの多いお馴染みの映画であるが、正直に告白すると、実は私はこれまで一度も観たことがなかったのである。
その壮絶な「やってもうた」感ゆえに一部では神話化(笑)しているせいもあってか、内容に関してはネットで検索すればワンサカ出てくるので(例えばこれなど)、繰り返しを避けてそちらに譲りたい。数年前にワインがぶ飲み状態の誠氏が深夜帯でTV上映された「北京原人」を観て激しく体調を崩すというハプニング逸話がすべてを物語っていることに変わりはないです(苦笑)。
以下、個人的に気になったことをついでに何点かメモっておこうと思う:

  • コメディ・アレルギーに加えて感動原理主義とでも言うべき邦画制作陣の悪い癖が露になっていると痛感する。そのくせ意図に反して結果的にコメディになっている(苦笑)。無理矢理ファミリー向け感動名作に仕立て上げることに固執し過ぎる余り、脚本が迷走するのである。TVドラマでもそうだが、「X周年記念」等々ヒット至上命題の大規模記念プロジェクトで万人受けを狙うと事の外この傾向に拍車がかかる。要するに、素直にコメディ(風刺やブラック・ユーモアを含む)として割り切ればよいものを、その勇気を持っていないのである(コメディは女性客が食い付かんから躊躇せざるを得ないという恐怖)。
  • 続編やるなら本気でギャグ映画作ってくれ。本作同様中国を舞台に絡ませて、ブラックなギャグをかましたら尊敬に値する。Team America World Police北朝鮮をネタにしたように(そんな勇気ないやろなぁ...)。
  • わざとかどうかは知らないが、丹波哲郎の大根役者ぶりがやけに目立つ。この人実力ないよ、本当は(笑)。舞台芸術じゃないんだから。もっとも、丹波に限らず日本の役者は概して舞台演出に由来する過剰演技という悪癖を持った人が多いように思う。いや待てよ、爆笑映画という点では丹波の過剰なマッド・サイエンティスト演技はしっくりハマっていたな。言うまでもなく、かの永久封印映画「ノストラダムスの大予言」の研究所長役に重なってくる。全然成長しとらん(笑)。
  • 乳出しの体当たり演技までした片岡礼子が少々哀れ。出し損。まさか本作でケチが付いたというわけでもあるまいが、その後の役者人生はあまり恵まれているとは言えないような気もする(残念ながら知名度がもう一つ)。02年には脳出血を患いしばらく闘病生活を余儀なくされている。こうなりゃ続編は是非「北京原人の呪い」ということで、なるほど、ホラーもオツなもんだ。ワイン飲み過ぎて体調を崩すシーンも挿入して(苦笑)。