(余談) Courrier Japon の門出

最近派手目に宣伝していたので、胡散臭く思いつつも少し気にはなっているニュース雑誌クーリエ・ジャポン(Courrier Japon)の創刊号が今週の17日(木曜日)にいよいよ発売とのこと。本国フランスではヒットしているらしいが、どうなんだろうねぇ、この手の情報寄せ集め雑誌というのは。
立ち読み(笑)前から批評するのもちょっと気が引けるが、率直に言って、この雑誌のコンセプトあるいは存在意義に関してはかなりの危うさを感じる。なぜなら、インターネット、とりわけブログ全盛の現代において、世界中のニュース記事や良質な論評などリアルタイムで、しかもほとんどすべてが無料で読み放題だからだ。非英語圏発信の新聞社/通信社サイトでも大抵は英語版がアップされているので、英語が読めれば大方把握できる。本国同様「30代のビジネスパーソンを中心に、学生から60代まで知的関心の高い読者」をターゲットにしているとすれば、彼らは少なくとも英語を「読む」くらいはできるであろうし(それでも相変わらず英語アレルギーは多いだろうからそれなりのマーケットはあるということか)。Web 2.0を旗印に、ニュース検索などのパーソナライズに焦点が当たっている昨今、お仕着せの編集による、総花的な、しかもただ翻訳されただけの記事を隔週で読むことの意味は那辺にありや?? さらに今時紙媒体とは何を考えとんのか...。
個人的にはFocusかFridayの国際版みたいなゲスい(苦笑)写真週刊誌ならば興味をそそられるのだが、硬派気取りでどこまで「おおっ」と言わせるのか見ものではある。編集長日記に、

「海外の記事ならネットでも読めるじゃないか」と思う方もいるでしょう。でも、「クーリエ・ジャポン」ほど、読んでおもしろい記事が満載の雑誌はない、と断言したいと思います。(10月29日)

と大見得を切ってはいるが(「所詮は翻訳だものなぁ」と内心はビクビクもんだろう(苦笑))、その通りかどうかは読んでみて判断しようぞ。でもねぇ、ニュースものと言えば、例えば私も愛読しているBoing BoingとかSlashdotに対抗できますかぁ??
UPDATE (11/22): 本日近所の大手書店に立ち寄って手に取ってみる。平積みされているのかと思いきや、他の総合誌に混じって埋没気味に棚に収まっており、探し出すのが少々大変であった。先週17日の創刊日にかなり売れてしまったのか、はたまた高級過ぎて(?)数が捌けないと書店側が腰の引けた判断を下した結果か。
それで肝心な内容であるが、現状の編集スタイルのままでは相当苦戦を強いられるだろうと思う。今後1年以内に実売部数で日本版Newsweekを超えられなかったらアウトだろうな。その可能性が高い気がする。理由は簡単で、翻訳ベースの総花的な内容が災いして独自性がまったく感じられないから("yet another 総合誌"という印象)。創刊号の目次を見ての通り、目玉の記事が「もう今頃読まんでもええやろ」という、既にどこかで読んだような記事ばかりでは、買って読もうという気にならない。小泉だ、松井だ、9.11だ、米中衝突だ、ってこんなのは大抵の読者にとってほとほと読み飽きているトピックスだろう。あと、広告多過ぎ(よく取れたな、営業ご苦労さん(苦笑))。
私流改善策:1) 採算重視で流通コストのかかる紙媒体は止めて、ネット上のビジネスモデルに切り替える。何でもありの総花路線ならばなおさらその方がよい(ネットならば抱合せ販売ではなくユーザ側が読みたい記事を自由に取捨選択し易い)。2) 海外記事の中で翻訳ニーズの高い記事のベストn位をユーザ投票で決定し、翻訳してコンテンツ提供。これは有料プレミアム・サービスにしてもよい。 3) ネットモデルがダメなら、もうちょっと中身を絞る。個人的にあったら面白いなぁと思うのは国際版Dark Side Japan(4、5年程度前までミリオン出版から出ていた今は無き濃密な裏取材雑誌)みないなやつ。徹底的にダークな海外記事だけを寄せ集めてくる。もっと濃くしないと(笑)。