裁判傍聴でヘトヘトになり

衆院解散選挙を受けて冒頭しばし政治談議に耽っておりましたが、新聞解説記事等の受け売りの域を出ない印象だったので、いちいちここに書き起こすことは止めておく。政治ネタは選挙後の楽しみに取っておいた方がよいでしょう。

ひょっとして電波放送不要ちゃうの?

今回でネット配信のみの放送は終了、次週より通常の電波バージョンに戻る。図らずも露呈したこと:電波放送の意義って何?? ネット配信だけで十分じゃないのか(苦笑)。
広告付きのpodcastingで無料配信やったら、雑音無しで全国にリーチできる。著作権がウザい音楽は特に必要なし。サイキック青年団のようにリスナーが全国に散らばっている人気番組の場合、ローカル放送の枠組みにこだわる根拠がまったくない。その方が広告主も喜ぶだろうに...。

裁判傍聴というエンタテインメント

阿曽山大噴火に触発されたのか、誠氏が裁判傍聴の実体験を語る(出版取材の一環のようです)。これは非常に興味深い話であった。「半日見学したらグッタリする」と言っていたので、体力と精神力を要求されるという意味ではまるでスポーツだ。
多種多様な業深き生身の人間ドラマをタダで鑑賞できるとあれば、暇つぶしには持って来いだろう。定年退職オヤジの新手の趣味になっているという話も頷ける。学生時代に傍聴の機会がなかった私も一度は見学したーいと疼いているのだが、いかんせん、平日日中しか開廷していないのが残念だ。差し当たりこれを参考にして機会を伺うとするか。

傍聴エピソードあれこれ

誠氏曰く、犯罪者の共通点は意志薄弱であること。覚醒剤犯が典型(そういえば岡村康幸の公判も始まったらしい)。でもなぁ、意志が弱い奴って言うけど、人間は誰しも弱いところがあるからねぇ。一見堅物の「この人は頼もしくて大丈夫」と思える人が裏で横領やってたりするんだわ、これが(笑)。以下、エピソード抜粋:
  • 夫への計画的な保険金殺人。小奇麗な普通のオバハンが味をしめて二回も。一度旨い汁を吸ったら罪の意識が麻痺するという好例のようであった。人間の快楽中枢っちゅうのは恐ろしいもんだな。小説「黒い家」を想起させる。
  • 痴漢裁判。再犯を繰り返している。制服の女子高生を見たらムラムラすると。弁護人、「実は彼女がいるんですよ」。そこに現れるは、場違いなピンクのフリフリ・スカートを着たリストカット痕痛々しいデブ女であった。検察側、「かわいい彼女を泣かすなぁ(ゴラァ)!!」。か、かわいい、って...。被告人、メソメソ泣き通しで裁判官に一喝される。トホホ。不謹慎かもしれんが下手なコメディより数倍面白い。これ、お笑いネタになるな(苦笑)。
  • キンタマ付いとんのかと思うくらいにチマチマした詐欺。ニート犯罪。薬盗んでは他の薬局に難癖つけて買い取り要求。「楽してでっかく儲けようという野心がなくなってきて、最近では楽してそれなりの生活したらええわという人が多いらしい」。これは原因と結果が逆だろう。野心があったらそもそもニートになってない(苦笑)。
  • 離婚裁判。基本的に誰も見に来ない上に、メモを取ろうもんなら露骨に嫌な顔をされるらしい。審理は感情を抑えて淡々と進められるらしので、刑事裁判に比較すれば劇的要素が少ないようだ。慰藉料の分捕り交渉あるいは駆け引きというカネの話、すなわち展開がわざとビジネスライクになっているので面白みがないのであろう。

読書の秋(ちと早いか)

裁判傍聴で救いの無い重苦しさを堪能した誠氏。話は最近読んだ救いの無い小説へと飛ぶ。取り上げられたのは「疾走」である。「グロテスク」もそうだが、「(書く方に一段とエネルギーを要求される)こういう重苦しい長編を書けるのはすごい」。竹内氏、文筆業の観点から「書くのはしんどいよ。書くという行為は何かしら身を削るところがあるねぇ。新聞連載なんて本当に大変やろなぁ」。フィクションとノンフィクションを問わず、執筆活動は自分を曝け出す行為という意味だろうと思う。頭カチ割って中を覗かれているようなもん。底が浅いとすぐに露見してしまうし、いっぱい恥もかくし...。
蛇足。新聞連載といえば「愛の流刑地」だ(笑)。オッサンは遂に絞首プレイで不倫相手を誤って死なせてしまいました(苦笑)。オッサンは不倫相手の側を離れたくない。自分も死のうかどうしようか血迷っている。渡辺節全開。全然身を削っていない(笑)。
竹内氏ご推薦は、江戸川乱歩賞受賞の「天使のナイフ」。筋書きの破綻の無さにひとしきり感心しておった。
水を差すようで悪いが、小説もいいけどやっぱりノンフィクションの迫力にはかなわないよ。現実の人間はコワ過ぎる。ということで、私はこの夏遅れ馳せながら読んだ「愛犬家連続殺人」を推奨。少しは涼しくなります(苦笑)。